FXのスワップポイントや高金利通貨について調べていると、「政策金利」という言葉をよく目にします。
特に、トルコリラ円、メキシコペソ円、南アフリカランド円のような高金利通貨では、政策金利の水準がスワップポイントを見るうえで重要な前提になります。
ただし、政策金利が高いからといって、必ずスワップポイントが高くなるわけではありません。
また、政策金利が高いことは、スワップポイント面ではプラスに見える一方で、その国のインフレ率や通貨安、経済環境などのリスクを反映している場合もあります。
このページでは、スワップポイント比較表を見る前に知っておきたい「政策金利」の基本を、初心者向けに整理します。
政策金利とは?
政策金利とは、中央銀行が金融政策を行うときに目安とする金利のことです。
中央銀行とは、日本でいえば日本銀行、トルコでいえばトルコ中央銀行、メキシコでいえばメキシコ中央銀行、南アフリカでいえば南アフリカ準備銀行のような機関です。
政策金利は、物価や景気、通貨の安定などを目的として、中央銀行が決定・誘導する重要な金利です。
ただし、ここで注意したいのは、「政策金利」という名前の金利が世界共通で1つ存在しているわけではない、という点です。
国や中央銀行によって、政策金利として参照される金利の名称や制度は異なります。
たとえば、日本では「無担保コールオーバーナイト物」が政策金利としてよく参照されます。
一方で、トルコでは「1週間物レポ金利」、メキシコでは「翌日物銀行間レート」、南アフリカでは「レポ金利」が政策金利として扱われます。
つまり、政策金利とは、世界中で同じ名前・同じ仕組みの金利を指す言葉ではなく、各国の中央銀行が金融政策のために重視している金利をまとめて呼ぶ言葉、と考えるとわかりやすいです。
政策金利は「長期金利」ではなく、主に短期金利に関係する
政策金利は、基本的には短期金利に影響を与えるためのものです。
ここでいう短期金利とは、金融機関どうしが短い期間でお金を貸し借りするときの金利などを指します。
たとえば、日本の「無担保コールオーバーナイト物」は、金融機関がコール市場で担保なしに資金を貸し借りし、翌営業日に返済する取引に関する金利です。
「オーバーナイト」という名前のとおり、かなり短い期間の資金取引に関係する金利です。
一方で、10年国債利回りのような長期金利は、政策金利とは別のものです。
もちろん、政策金利の変更は長期金利や為替相場にも影響することがあります。
ただし、政策金利そのものは「1年間ずっと固定される長期金利」というより、中央銀行が金融政策のために決定・誘導する短期金利の目安として理解した方が自然です。
年〇%と表示されても、将来の受け取りが確定しているわけではない
政策金利は「年〇%」という形で表示されることが多いです。
たとえば、ある国の政策金利が年10%と表示されている場合、その国の短期金利の目安が年10%水準にある、という意味で使われます。
ただし、これは将来にわたってその金利が保証されるという意味ではありません。
政策金利は、中央銀行の金融政策決定会合などで変更されることがあります。
また、FXのスワップポイントは政策金利だけで決まるものではありません。
各FX会社が、市場環境、調達コスト、自社の方針、取引条件などをもとに設定しているため、政策金利が同じでも、FX会社ごとにスワップポイントは異なります。
そのため、政策金利はスワップポイントを見るうえで重要な前提ではありますが、「政策金利が高いから、この通貨のスワップポイントも必ず高い」とは言い切れません。
各国の政策金利として参照される主な金利
以下は、当サイトで扱う主な通貨に関係する国と、政策金利として参照される主な金利です。
| 国 | 中央銀行 | 政策金利として参照される主な金利 |
|---|---|---|
| 日本 | 日本銀行 | 無担保コールオーバーナイト物 |
| トルコ | トルコ中央銀行 | 1週間物レポ金利 |
| メキシコ | メキシコ中央銀行 | 翌日物銀行間レート |
| 南アフリカ | 南アフリカ準備銀行 | レポ金利 |
※上記は、スワップポイントや高金利通貨を見るうえで参照される代表的な金利を整理したものです。
※各国の制度や名称は変更される可能性があります。最新情報は各中央銀行の公式ページをご確認ください。
政策金利はなぜ変更されるのか
中央銀行は、物価や景気、金融市場の状況などを見ながら政策金利を変更します。
政策金利を上げると、お金を借りるコストが高くなります。
企業や個人がお金を借りにくくなり、消費や投資が抑えられやすくなります。
そのため、政策金利の引き上げは、インフレを抑える方向に働きやすくなります。
反対に、政策金利を下げると、お金を借りるコストが低くなります。
企業や個人がお金を借りやすくなり、消費や投資が増えやすくなります。
そのため、政策金利の引き下げは、景気を支える方向に働きやすくなります。
かなり単純化すると、以下のように整理できます。
| 政策金利の方向 | 一般的な効果 |
|---|---|
| 政策金利を上げる | お金を借りにくくし、インフレを抑えやすくする |
| 政策金利を下げる | お金を借りやすくし、景気を支えやすくする |
ただし、実際の経済はもっと複雑です。
政策金利を上げれば必ずインフレが止まるわけではありません。
政策金利を下げれば必ず景気が良くなるわけでもありません。
為替相場、海外金利、資源価格、政治情勢、財政状況など、さまざまな要因が影響します。
高金利通貨の政策金利が高い理由
スワップ投資をしていると、政策金利が高い国の通貨は魅力的に見えることがあります。
政策金利が高い国の通貨を買って、日本円のような低金利通貨を売る場合、金利差を背景にプラスのスワップポイントを受け取れることがあるためです。
ただし、政策金利が高いことは、単純に「良いこと」とは言い切れません。
政策金利が高い国では、インフレ率が高い、通貨が不安定、経済への信頼が揺らいでいる、海外から資金を集める必要がある、などの背景がある場合もあります。
つまり、高い政策金利は、スワップポイントの高さにつながる要素のひとつである一方で、その国のリスクの高さを示している場合もあります。
スワップポイントだけを見ると、毎日収益が積み上がるように見えます。
しかし、為替相場が大きく下落すると、受け取ったスワップポイント以上に評価損が大きくなることもあります。
そのため、高金利通貨を見るときは、政策金利の高さだけでなく、為替変動リスクやインフレ、各国の経済状況もあわせて確認する必要があります。
政策金利とスワップポイントの関係
スワップポイントは、通貨ペアを保有したときに発生する金利差調整額です。
一般的には、金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売る場合、プラスのスワップポイントを受け取りやすくなります。
たとえば、トルコリラ円、メキシコペソ円、南アフリカランド円の買いポジションでは、各国の金利が日本より高い場合、プラスのスワップポイントが発生しやすくなります。
ただし、スワップポイントは政策金利だけで機械的に決まるものではありません。
同じ通貨ペアでも、FX会社によってスワップポイントが異なります。
また、同じFX会社でも、日によってスワップポイントが変わることがあります。
これは、スワップポイントが各国の政策金利差だけでなく、市場金利、流動性、為替市場の状況、FX会社ごとの調整などの影響を受けるためです。
そのため、政策金利はスワップポイントを理解するための重要な前提ですが、実際の付与額は各FX会社の公式スワップカレンダーで確認する必要があります。
スワップポイントを見るときの注意点
政策金利とスワップポイントを見るときは、以下の点に注意が必要です。
1. 政策金利が高いほど、通貨リスクも高い場合がある
高金利通貨は、スワップポイントの面では魅力的に見えることがあります。
しかし、政策金利が高い背景には、インフレや通貨安、経済不安定性などがある場合もあります。
単純に、高金利だから有利、とは判断できません。
2. スワップポイントはFX会社ごとに異なる
政策金利が同じでも、FX会社ごとにスワップポイントは異なります。
そのため、スワップポイントを比較するときは、各社の公式スワップカレンダーを確認する必要があります。
3. スワップポイントは日々変動する
スワップポイントは固定ではありません。
日々変更されることがあります。
また、土日や祝日をまたぐ場合には、付与日数が複数日分になることがあります。
そのため、ある1日だけのスワップポイントを見るのではなく、月単位の推移や平均も確認することが大切です。
4. 為替差損がスワップ収益を上回ることがある
スワップポイントを受け取っていても、為替相場が大きく下落すると、評価損が膨らむことがあります。
特に高金利通貨は、為替変動が大きくなることがあります。
スワップポイントだけでなく、為替変動リスクもあわせて確認する必要があります。
incomeBoard365での政策金利データの扱い
incomeBoard365では、スワップポイント比較表を見るための前提情報として、政策金利に関する情報も整理していく予定です。
ただし、当サイトでは、政策金利の将来予想や為替相場の予想を行うことを目的としていません。
政策金利の推移や各国中央銀行の情報を確認し、スワップポイント比較表を読むための参考情報として整理します。
また、スワップポイントは各FX会社が公表している数値をもとに記録します。
政策金利とスワップポイントは関係がありますが、完全に同じ動きをするわけではありません。
そのため、当サイトでは、政策金利データと各社スワップポイントデータを分けて整理します。
関連ページ
各国の政策金利については、以下のページで個別に整理する予定です。
▶トルコの政策金利について
▶メキシコの政策金利について
▶南アフリカの政策金利について
また、スワップポイント比較表の見方や、データ取得元・更新方針については、以下のページもあわせてご確認ください。
▶スワップポイント比較表の見方
▶データ取得元・更新方針
▶通貨別スワップ各社比較
まとめ
政策金利は、中央銀行が金融政策を行うときに重視する金利です。
ただし、「政策金利」という名前の金利が世界共通で存在しているわけではなく、国や中央銀行によって参照される金利の名称や仕組みは異なります。
政策金利は、スワップポイントを見るうえで重要な前提になります。
しかし、実際のスワップポイントは政策金利だけで決まるものではなく、FX会社ごとの方針や市場環境によっても変わります。
また、政策金利が高い国の通貨は、スワップポイント面では魅力的に見える一方で、インフレや通貨安、為替変動リスクを抱えている場合もあります。
スワップポイントを見るときは、政策金利の高さだけで判断せず、各社のスワップポイント、付与日数、為替変動リスク、各国の経済状況などもあわせて確認することが大切です。
incomeBoard365では、今後も各社公式情報をもとに、スワップポイントや政策金利に関するデータを整理していきます。